国産材の利用拡大、そしてお客様の製品の価格や品質に関する要望に応えるため、当社はさまざまなコストダウンに取り組んでいます。
まず、川上では山林の「団地化」を進めています。国内林業地は、5ヘクタール以下の小規模森林が全体の7割強を占めており、それぞれの所有者が独自に伐採や搬出を行っていることから、山単位での林道整備や機械化が進まず、高コスト経営になりがちです。そこで当社が旗振り役となって、小規模森林における施行の共同化・大規模化といった、森林のいわゆる「団地化」を推進しています。具体的には、共通の林道整備や、林業の大規模化により可能となる高性能機械の導入を推進し、林業経営全体のコストダウンを図っています。また、植林の際には、シカなどによる獣害を防ぐとともに成長を促進する「ヘキサチューブ」を使用した低コスト造林も提案しています。

住友林業フォレストサービス株式会社 社長
倉光二朗

苗を覆うヘキサチューブ。
獣害に強く、苗の成長も促進します
川中では、流通の短縮化に取り組んでいます。最大のポイントは、従来のプロダクトアウトの市場経由の取引を改め、顧客ニーズを山の伐採計画に取り込み、市場を通さず、顧客に直送するシステムを業界に先駆けて確立したことです。伐採地から離れている顧客に対しても、山の中腹に中間土場を設け在庫管理を行うことで、トレーラーによる出荷体制を整備し、物流費を下げるとともに、製材工場に直送できる仕組みを構築しています。
また、顧客のニーズを踏まえ、例えば従来の3m/4m/6mの長さから用途に応じた4・3m/4・45m/3・35mなど通常出回らない長さの採材も行っています。加えて、国産材のさらなる利活用のために、林地残材を使ったプロジェクトにも取り組んでいます。
川下では、当社独自規格の「FS(フォレスト・サービス)グレード」の拡販に力を入れています。国産材の需要拡大には、安定供給が大前提ですが、量だけでなく品質や規格も備わっていなければなりません。これらの条件を満たしたのが「FSグレード」です。昨年7月の発売以来、お客様に大変ご好評をいただいており、現在、生産拠点の拡充に注力しています。
国内人工林の多くは、主伐期を迎えているにもかかわらず、木材価格の低下や採算性の悪化により、切られることなく放置され、結 果としてCO2吸収量も低下の一途をたどっています。こうした状況を打開するためにも、当社のように森林に関する高いノウハウを持つ企業が、率先して具体的なコストダウン策を実践し、業界に提示することで国内林業の再生をリードしていかなければなりません。使命感を持って、今後も引き続きグループの国産材の積極活用を推進し、政府が掲げる木材自給率50%の達成を強力に後押ししていきたいと思います。

トレーラーも出入りできる広大な中間土場

林地残材を回収するトラック。
愛媛県新居浜の当社社有林にて
林地残材とは、枝葉や腐れ材等、伐採後も使用されることなく林内に放置されている未利用材のことです。これを回収し、木質チップに加工した上で石炭に混入して発電するというプロジェクトを住友共同電力(株)と共同で進めています。石炭使用量を減らしつつ、国産材の利用を増やすという点で、環境保全に貢献できるプロジェクトです。
利用計画量は年間1 万2,500トンで、計画を達成すれば石炭使用量を年間2,900トン、CO2を年間6,900トンそれ
ぞれ削減することができます。
従来、林地残材の燃料利用については、「安定供給するのにコストがかかりすぎる」との理由から、住友共同電力(株)が実施する年間12,500トンもの林地残材を活用するような大規模な取り組みは、全国的にも例がありませんでした。
しかし住友林業フォレストサービスでは、林地残材を回収し、CO2削減にも貢献できる今回の事業を“国土報恩”の精神につながると考え、住友共同電力(株)へ発電に必要な林地残材を低コストで安定供給することに合意しました。
当初、愛媛県内の林業関係者や県庁職員からも、「それほどの量を低コストで回収するのは困難では?」といった声が聞かれましたが、森林関係者や運搬業者に根気強く協力を呼びかけ、8月4日現在、林地残材の安定供給体制をほぼ構築することに成功しました。
今後この事業は、国の強い後押しが見込める成長分野ですので、マーケットリーダーを目指し、全国展開していく予定です。
(住友林業グループ報「樹海」第112号より抜粋)


